「成人した子どもが働けず、家にいる」
「仕事に就いても長く続かない」
「親がいなくなった後、この子はどうなるのだろう」
このような悩みを抱えながら、誰にも相談できずにいる親御さんは少なくありません。
周囲の同世代が働いたり、家庭を持ったりしている姿を見ると、「どうしてうちの子だけ」と焦ってしまうこともあるでしょう。
しかし、働けない状態には本人なりの理由があります。怠けや甘えと決めつけて無理に働かせようとすると、自信を失い、社会からさらに距離を置いてしまうことがあります。
親として大切なのは、すぐに就職させることではありません。
子どもが安心を取り戻し、自分に合った方法で社会とつながれるように支えることです。
今回は、子どもが働けないときに親としてできる支援や接し方、利用できる相談先について解説します。
子どもが働けないのには理由がある
働けない理由は人によって異なります。本人にも、その理由をうまく説明できない場合があります。
例えば、次のような背景が考えられます。
- うつ病や統合失調症、不安障害などの精神的な不調
- 発達障害の特性による仕事上の困難
- 職場での失敗や叱責、人間関係への強い不安
- 生活リズムの乱れや体力の低下
- 自分に合う仕事が分からない
- 長期間の引きこもりによる自信の低下
- 「働かなければならない」というプレッシャー
- 過去の退職や挫折による恐怖心
外から見ると何もしていないようでも、本人の心の中では、「働きたいけれど怖い」「また失敗するのではないか」「周囲に迷惑をかけるかもしれない」という葛藤が起きていることがあります。
まずは、「働く気がない」と決めつけるのではなく、「今は働くための準備が整っていないのかもしれない」と捉えてみましょう。
子どもが働けないときに親としてできる5つの支援
1.責めずに本人の話を聞く
親御さんが不安になるのは当然です。
しかし、「いつになったら働くの?」「このままでどうするの?」と繰り返し問いかけると、本人は責められていると感じることがあります。
本人も「働かなければならない」と分かっている場合がほとんどです。分かっていても動けないからこそ、苦しんでいる可能性があります。
すぐに答えや解決策を出そうとせず、まずは本人の話を聞いてみましょう。
「働くことについて、今どんな気持ち?」
「何か困っていることはある?」
「今できそうなことを一緒に考えてみない?」
このように、本人が自分の気持ちを話せる聞き方が大切です。
話したくない様子であれば、無理に聞き出す必要はありません。「話したくなったらいつでも聞くよ」と伝えるだけでも、本人の安心につながります。
2.生活を整えることから始める
長い間働いていない人にとって、いきなり週5日、1日8時間の勤務を目指すのは大きな負担です。
最初の目標は、就職でなくても構いません。
- 決まった時間に起きる
- 朝食を食べる
- 着替えて外に出る
- 家族以外の人と話す
- 週に1回、支援機関へ行く
- 短時間の作業をしてみる
一見すると小さく見える行動も、社会参加に向けた大切な一歩です。
できていないことを指摘するよりも、昨日より少しできたことに目を向けましょう。
「今日は起きられたね」
「一緒に外出できてよかった」
「相談先について話せたことも一歩だね」
小さな変化を認めてもらうことで、本人は少しずつ自信を取り戻していきます。
3.本人の得意なことと苦手なことを整理する
仕事が続かなかった経験があると、「自分は何をやっても駄目だ」と考えてしまいがちです。
しかし、本人に能力がないのではなく、仕事内容や職場環境が合っていなかった可能性もあります。
例えば、人との会話は苦手でも、一人で集中する作業が得意な人がいます。
朝は起きにくくても、午後からであれば安定して活動できる人もいます。
体力を使う仕事は難しくても、パソコン作業では力を発揮できる場合もあります。
本人と一緒に、次のことを整理してみましょう。
- 興味を持てること
- 比較的得意な作業
- 苦手な作業や環境
- 疲れやすい状況
- 安心できる場所
- 希望する勤務時間
- 必要な配慮や支援
苦手なことを克服するだけでなく、得意なことを生かせる環境を探すことが大切です。
4.家族だけで抱え込まず専門機関へ相談する
親子だけで話し合っていると、お互いに感情的になってしまうことがあります。
親は将来が心配になり、子どもは責められているように感じる。その結果、会話そのものがなくなってしまうこともあります。
そのようなときは、家族だけで解決しようとせず、第三者へ相談しましょう。
相談先には、次のような機関があります。
- 市区町村の障害福祉担当窓口
- 相談支援事業所
- 障害者就業・生活支援センター
- 地域若者サポートステーション
- ハローワークの専門窓口
- 保健所や精神保健福祉センター
- 心療内科や精神科などの医療機関
- 就労移行支援事業所
- 就労継続支援A型・B型事業所
精神的な不調や強い不安、睡眠や食欲の変化が見られる場合は、医療機関への相談も検討しましょう。
本人が相談を拒む場合は、まず親御さんだけで相談できる窓口を利用する方法もあります。
家族以外の支援者が加わることで、本人の本音や新しい選択肢が見えてくることがあります。
5.一般就労だけをゴールにしない
「成人したのだから、一般企業で働かなければならない」と考えると、本人も家族も苦しくなります。
働き方には、さまざまな選択肢や段階があります。
障害や体調などによって一般企業で働くことが難しい場合は、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型などの障害福祉サービスを利用できる可能性があります。
特に就労継続支援B型は、雇用契約を結ばず、本人の体調や障害特性に合わせて作業へ取り組む場所です。
事業所によっては、短い時間や少ない日数から利用できます。
「毎日通えるか不安」
「長い間働いていない」
「まずは外出する習慣をつくりたい」
このような人が、社会との接点をつくる場所としても利用されています。
親が避けたい言葉や行動
心配する気持ちから出た言葉でも、本人を追い詰めてしまうことがあります。
例えば、次のような言葉には注意が必要です。
「みんな普通に働いている」
「甘えているだけ」
「いつまで面倒を見ればいいの?」
「親がいなくなったらどうするの?」
「どんな仕事でもいいから働きなさい」
「頑張ればできるでしょう」
このような言葉は、本人の不安や自己否定を強める可能性があります。
また、本人に相談せず、親だけで就職先や支援先を決めてしまうことも避けた方がよいでしょう。
親が情報を集めることは大切ですが、実際に通い、働くのは本人です。
「こういう場所があるけれど、見学だけしてみる?」
「今すぐ利用を決めなくてもいいから、話を聞いてみない?」
このように選択肢として提案し、本人の意思を確認することが大切です。
就労継続支援B型という選択肢
就労継続支援B型は、一般企業への就職が現時点では難しい人に、働く機会や生産活動の場を提供する障害福祉サービスです。
B型事業所では、利用者一人ひとりの体調や特性に合わせながら作業を行います。
作業内容は事業所によって異なります。
- 軽作業や内職
- 清掃
- 農作業
- ハンドメイド
- パソコン作業
- ECサイトへの出品
- 古着の検品
- ミシンを使った作業
大切なのは、本人に合った事業所を選ぶことです。
B型事業所を見学するときは、次の点を確認しましょう。
- 本人が興味を持てる作業があるか
- 通所日数や利用時間を相談できるか
- 体調が悪いときに休みやすいか
- 職員へ悩みを相談しやすいか
- 事業所の雰囲気が本人に合っているか
- 工賃や送迎、昼食などの条件
- 利用者同士の距離感が合っているか
ホームページの情報だけで決めず、できれば本人と一緒に見学や体験利用をすることをおすすめします。
実際の雰囲気を知ることで、「ここなら行けるかもしれない」と思えることがあります。
親自身の生活も大切にする
子どもの将来を心配するあまり、親御さんが疲れ切ってしまうことがあります。
しかし、親がすべてを背負い続けることには限界があります。
親御さん自身の時間を持つことや、家族会、相談機関などで悩みを話すことも大切です。
子どもの問題と親自身の人生を分けて考えることは、決して子どもを見放すことではありません。
親が少し肩の力を抜くことで、家庭内の緊張が和らぎ、本人が動き出しやすくなる場合もあります。
支える人にも、支えが必要です。親御さん自身も一人で悩みを抱え込まないようにしましょう。
「働く」より先に「安心できる場所」を見つけよう
子どもが働けないと、親御さんは将来への不安から、早く結果を求めてしまいがちです。
しかし、焦らせることで働けるようになるとは限りません。
必要なのは、本人の気持ちや体調を理解し、今できる小さな一歩を一緒に探すことです。
外出する。誰かと話す。見学へ行く。週1日だけ通ってみる。
こうした一歩も、立派な前進です。
就労継続支援B型事業所「毎日が夏休み。」では、最初から週5日働くことを求めるのではなく、一人ひとりの体調や気持ちに合ったペースを大切にしています。
パソコン作業、EC物販、内職、ミシン、古着の検品など、本人の得意なことや興味に合わせた作業を選ぶことができます。
「まだ通えるか分からない」
「本人が見学を迷っている」
「まずは家族だけで相談したい」
そのような段階でも構いません。
野田市・流山市・柏市周辺で、お子さんの働き方に悩んでいる方は、一人で抱え込まずにご相談ください。
働くことだけを急ぐのではなく、まずは本人が安心できる場所を一緒に探していきましょう。
よくある質問
本人が働く話を嫌がる場合はどうすればよいですか?
無理に話を進めず、本人が何に不安を感じているのかを知ることから始めましょう。
「働きなさい」と結論を押しつけるのではなく、「今困っていることはある?」と尋ねることが大切です。本人が相談を拒む場合は、親御さんだけで自治体や支援機関へ相談することもできます。
障害者手帳がなくてもB型事業所を利用できますか?
障害者手帳がなくても、医師の診断や自治体の判断などによって利用できる場合があります。
利用条件は本人の状況や自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、希望する事業所へ確認してください。
週5日通えなくても利用できますか?
事業所によって対応は異なりますが、少ない日数や短時間から相談できるB型事業所もあります。
最初から無理をせず、本人の体調や生活リズムに合ったペースで始めることが大切です。

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