はじめに：「働きたいけれど、怖い」という気持ちに寄り添って
「働きたいけれど、体調が不安定で続けられるか心配」
「前の職場で人間関係に疲れてしまった」
「社会復帰したいけれど、何から始めたらいいかわからない」
精神障がいを抱える方の多くが、このような不安を感じながら日々を過ごしています。
そんな方が“安心して働く練習”を始められる場所が、就労継続支援B型事業所（以下、B型）です。
B型では、雇用契約を結ばずに自分のペースで働けるため、体調や気分の波があっても無理なく続けることができます。
この記事では、精神障がいのある方がB型事業所で得られる「3つの安心」を中心に、利用の流れや支援内容をわかりやすく紹介します。
第1章 就労継続支援B型とは？“働く練習”を支える福祉サービス
B型事業所の基本
就労継続支援B型は、障がい者総合支援法に基づく障がい福祉サービスのひとつです。
目的は、一般就労が難しい方が自分のペースで働く練習を行い、社会とのつながりを取り戻すこと。
特徴を簡単にまとめると次の通りです。
- 雇用契約を結ばず、利用契約で通所できる
- 作業に応じて「工賃（報酬）」が支払われる
- 通所日や時間を柔軟に調整できる
- 支援員が生活面・体調面もサポートしてくれる
つまり、B型は“働くことが不安な方が安心して挑戦できる場所”です。
精神障がいのある方が多く利用する理由
実際に、全国のB型事業所の利用者の約半数は精神障がいのある方です。
- 体調や気分に波がある
- 長時間労働が難しい
- 人との関係にストレスを感じやすい
- 外出の習慣を取り戻したい
こうした状況に合わせて、「無理せず、でも確実に社会と関わる」ことができるのがB型の魅力です。
第2章 B型事業所で得られる3つの安心
安心①：自分のペースで働ける環境
無理をしない働き方ができる
B型事業所では、体調やメンタルの状態に合わせて働く時間や日数を調整できます。
たとえば「週2日、午前だけ通う」といった利用も可能です。
スタッフが朝の体調チェックを行い、その日の作業内容を一緒に決めてくれるため、“今日は少し疲れているから軽めの作業にしよう”という柔軟な対応ができます。
体調の波を理解してもらえる
精神障がいのある方にとって、気分や体調の波は避けられないもの。
B型では、支援員がそうした特性を理解したうえでサポートしてくれます。
「今日はしんどい」「集中できない」と言える雰囲気があるため、安心して通い続けることができます。
自分のリズムを取り戻せる
決まった時間に起きて出かける──その小さな習慣が、生活の安定と自己肯定感の回復につながります。
B型は、「もう一度社会とつながる練習の場所」でもあるのです。
安心②：人との関わりを通して“孤独”から抜け出せる
人と関わる安心感
精神障がいを持つ方の多くが、人間関係のストレスで苦しんできた経験を持っています。
B型事業所では、支援員や仲間と穏やかに関われる環境が整っています。
- 挨拶やちょっとした会話から社会復帰の第一歩
- 支援員が間に入り、トラブルを未然に防ぐ
- 一人になりたい時は無理に話さなくてもOK
「誰かと一緒に過ごす」「見守ってくれる人がいる」──この感覚が安心につながります。
安全なコミュニティの存在
B型は、同じような悩みや経験を持つ人たちが集まる場所でもあります。
他の利用者との交流を通して、「自分だけじゃない」と感じられることが多いです。
「あの人も頑張ってるから、私も少しやってみよう」
そんな“安心の連鎖”が生まれるのも、B型の特徴です。
支援員のサポート体制
支援員は、利用者一人ひとりの状態を理解し、会話のペースや距離感を大切にしています。
話を聞くだけでも安心できる──そんな時間が、少しずつ心の回復を促していきます。
安心③：社会とつながり、“自分の存在価値”を感じられる
工賃（報酬）がもらえる
B型事業所では、作業の成果に応じて「工賃」が支払われます。
平均は月1万5千円前後ですが、自分の手で得た報酬は大きな自信になります。
「自分の力で稼いだ」「社会に貢献できた」──その実感が、自己肯定感の回復につながります。
“働く意味”を思い出せる
作業を通して「ありがとう」「助かった」と言われる体験を重ねることで、
「自分の存在が誰かの役に立っている」と感じることができます。
この感覚が、社会とのつながりを再び育てていくのです。
ステップアップもできる
B型で働く中で、少しずつ自信を取り戻した方の中には、
就労移行支援→A型事業所→一般就労とステップアップしていく人もいます。
B型は、「社会復帰への最初の一歩」を踏み出すための安心な土台なのです。
第3章 B型事業所での1日の流れ（例）
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 9:00 | 送迎・出勤・朝礼（体調チェック） |
| 10:00〜12:00 | 午前の作業（軽作業・制作など） |
| 12:00〜13:00 | 昼食・休憩（昼食無料） |
| 13:00〜15:00 | 午後の作業 |
| 15:00〜 | 終礼・掃除・送迎 |
通所時間は短く、体調に合わせて途中で休憩や早退も可能です。
焦らず、自分のペースで「通えること」を第一に考える仕組みになっています。
第4章 「毎日が夏休み。」が大切にする3つの支援
就労継続支援B型事業所「毎日が夏休み。」では、精神障がいのある方が安心して通えるよう、3つの柱を大切にしています。
① “人のために生きる”という理念
人の役に立つ喜びを感じながら、自分の存在価値を見出す。
それが、心の安定と前向きな生き方につながります。
② “自分らしく”働ける環境
誰かと比べることなく、ありのままの自分で過ごせる環境を提供。
苦手なことではなく、得意や興味を活かせる作業を提案します。
③ “ラッキーマインド”の文化
「つらい時こそラッキー」「うまくいかない日も自分の成長につながる」
そんな前向きな考え方を共有しながら、笑顔の絶えない支援を行っています。
施設の特徴
- 平日10:00〜15:00、無理のない短時間作業
- 送迎あり・昼食無料
- 平均工賃3万円を目指す生産活動
- 支援員が一人ひとりに寄り添う丁寧なサポート
「働くことが怖い」と感じる方も、安心して“自分のペース”で挑戦できる場所です。
第5章 利用までの流れ（申請から開始まで）
- 見学・体験
まずは気になる事業所を見学して雰囲気を確認。
「自分に合いそう」と思ったら、体験利用してみましょう。 - 相談支援事業所での面談
利用希望を伝えると、支援計画（サービス等利用計画書）を作成してもらえます。 - 市区町村への申請
障害福祉サービス受給者証を申請。
（医師の診断書や意見書が必要） - 契約・通所開始
契約が完了したら、利用日数・時間を決めて通所スタート。
最初は午前だけなど、小さく始めることができます。
第6章 まとめ：安心できる環境が、回復への第一歩になる
精神障がいを持つ方にとって、働くことは「挑戦」であると同時に「回復のチャンス」でもあります。
就労支援B型事業所では、
- 自分のペースで働ける安心
- 人とのつながりによる安心
- 社会に参加する安心
この3つの安心が、あなたの心と生活を少しずつ前向きに変えていきます。
焦らなくて大丈夫。
できる日も、できない日も、すべてがあなたの成長です。
「毎日が夏休み。」は、そんなあなたの“再スタート”を支える場所です。
あなたらしく働くこと＝自分を大切にすること。
その第一歩を、ここから一緒に踏み出していきましょう。
コメント